江戸の妖怪
50歳になって、大学院に通った。
よく勉強をした。
暇なときは、江戸学の本を渉猟した。
街づくりの参考書が主であったが、
妖怪ものもあった。
ろくろ首、のっぺらぼう、お岩さん、等々。
原型は、死罪になった人々のことかと思った。
私刑・リンチの被害者もモデルであろう。
心中、自殺者も。
庶民に対する戒めか、キツイな、とも考えた。
昔、役人のころ、街中を歩いて、人に話しかけられて、
「極左の者なんぞ、早くとっ捕まえて、裁判なんかしねえで、簀巻きにして、大川(隅田川)に流してくんねえ!人殺しは、それがてっとりばやい。」
などと言われて閉口した。
因みに、私の最後の勤務地は東京水上警察署であった。
特徴的なのは、年間水死体の取り扱い数は、300体以上だということである。
多摩川、隅田川、荒川、等から流れ着く仏様の数である。
無常感がつのったものである。
嫌な顔ひとつしないで取り扱ってくれた部下や、一般職の人々に
今でも感謝している。
政治が貧困だと、いうことが、現場では如実に判るのだ。